オーストラリアの有袋類は夜行性が多く、残念ながら、なかなか日中はお目にかかれない動物が結構います。
その中のひとつが、コモン・ブラッシュテール・ポッサムです。日本ではフクロギツネと呼ばれています。有袋類なので、「フクロ」はなるほどと思うのですが、「キツネ」は???です。どう見てもキツネには見えませんよね~。大きさは猫ぐらいですが、木登りがとても上手で、木の枝から枝へとうまく渡って移動します。
観察する限り、フクロギツネはメスを中心としてとてもテリトリー意識が強く、メスは定住、ある程度成長したオスは故郷を去っていきます。
メスの中にはボスとなるメスがいて、ほかのメスはボスの機嫌を損なわないように対処しなくてはなりません。
メスでもテリトリーを追われたり、個体数が多すぎると、安住の地を求めて旅立っていくこともあります。
他の場所からやってきたオスは、子孫を残す為に、メスにはとても優しく、食べ物もレディー・ファースト。
勿論、メスにこづかれたり、「どいて」と言われ、仕方なくということもありますが…(笑)
一方で、別のオスが視界に入ると、物凄い喧嘩を繰り広げることに相成ります。オスの性は悲しいですね。
子育てですが、赤ちゃんが小さいうちはメスのお腹にある袋の中で育てます。
袋のなかでお乳が飲めるようになっているので安心。
ある程度大きくなったら、赤ちゃんを外に出して、背中に乗せて移動をするのですが、その姿がまた、なんとも可愛いんですよ。
自然界では木の穴をねぐらとしていますが、アーバンエリアでは、もともと住んでいた場所に家が次々と建てられ、ねぐらとする木々も伐採され、やむを得ず、寝る場所を探して、小さな入口を見つけては人の住む家屋に浸入するので、嫌われ者になってしまっています。
また、宅地開発により、本来、オーストラリアの大陸にはいるはずのない、ペットの猫や犬が放し飼いされて危険にさらされています。
そして、住める場所が少なくなるだけでなく、住処が道路などによって分断され孤立してしまい、移動中に自動車にひかれてしまう悲しい現実もあります。
幸い、フクロギツネは、繁殖力が強いので、個体数は減少していないようですが、フクロギツネに限らず、元々その土地に住んでいた固有の動物たちや植物にも配慮した生活をしたいものですね。